バレエダンサー、特にバレエ界のトップに立つような人たちは、『己』を知っています。
毎朝、10時からバーレッスンでウォームアップをして、己の身体と対話します。
そこから、いまの自分がどう在るのか把握して、その日の身体の状態に合わせて、ストレッチを長めに入れたり、弱いと思われる部分は特に念入りに動かしたりと、日々自分の身体を感じながら生活しています。
毎日6~10時間のリハーサルで、1~2ヶ月に一度は2週間の公演。 キャスティング(役のリスト)も4~5セットほど(スポーツで言う控えのようなものが4~5軍まで)あり、自分の代わりはいつでも居ます。体調が悪ければ、または怪我すれば直ぐに『あなた』のスポット(ポジション)を狙っている誰かに取られてしまうのです。常にこの状態の緊張感のある毎日で、常にベストパフォーマンスをするために、バレエダンサーは、日々のトレーニングとコンディショニングを欠かしません。まさしく「積み重ね」。ここで大きく差が出ます。 上に行けるダンサーとそうでないダンサー。少なくとも私はそれを全米トップ5に入るヒューストンバレエ団で4年間働いた時の、あの環境から感じたフィーリングで今も覚えています。 ヒューストンバレエ団で働いていた当時、私はコンディショニングルームというところで、筋トレやコンディショニングを担当して指導しておりました。 その時、ほぼ毎日、必ずといってコンディショニングをしにきていたのが、ヒューストンバレエ団のプリンシパル、ソリストレベルのダンサー達です。 皆さんもお気づきかと思いますが、彼らのように『トップに入れる人』は、『自己観察力』が素晴らしく、『自己認識』、彼らの身体を誰よりも知っているのです。動いて、感じて、ストレッチして、コンディショニングして、ストレングストレーニングして、動いて、最高の状態をつくる。 この流れ『ルーティン』を彼らは持っているのです。 トップアスリートであれば、誰もが持っている『自己ルーティン』を日本のスポーツ界、芸術界に広めて行きたい。 それが私の願いで、母国に還元したいという強い『想い』です。
Where there is a will, there is THE way.
川﨑章広